寄せられた作品を掲載します。

 トンキーおじさん    石川逸子

                

ぼく 知ってるよ

トンキーおじさんのこと

だいぶ昔のことだけど

ちゃんと言い伝えされてるからね

 

トンキーおじさんは

上野動物園にいたんだ

あるとき <猛獣はみな殺せ>って命令がきた

 

万一 空襲で 動物園がやられたら

猛獣は 野放しになり

ヒトが 襲われてしまうからって

 

ヒョウ チーター ライオン 熊 ガラガラ蛇 

銃殺は禁じられ 青酸カリで ロープで

みんな殺されてしまったんだ

 

ぼくらのトンキーおじさんは がんばったよ

毒の入ったものは食べず

青酸カリを溶かした水も飲まない

 

もう餓死させるしかない

泣きながら 動物園のヒトたちは

トンキーおじさんに 餌も水もやらなかったんだ

 

弱った体で 餌がほしくて

両前肢をあげ ちんちんをしてみせた 

トンキーおじさん

哀れで つい水をあげてしまった 係のヒト

 

象のぼくらは

みんな トンキーおじさんのこと 知っている

草原で 涙をこぼしながら 先生が話してくれたんだ

 

ところで ヒトの子どもたち

 

 

 

トンキーおじさんのこと 聞いてるかな

先生は 話してくれてるかな

 

ぼく 時々怖くなるんだ

ぼく 日本の動物園にいるからね

ぼく いつか 餓死させられたりしないだろうか

 

 

2 星条旗に従って  石川逸子

                

 

野菜を売っている老女

山羊を連れている少年

みな「敵」に見え

怖いから 撃つ

 

携帯電話を持っていたら殺す!

走っていれば殺す!

逃げるものも殺す!

白旗をかかげるものもワナだから殺す!

 

―星条旗を逆さまにして

イラク戦争から帰還した兵士たちは語った

 

命令にしたがい

三日間 人間を撃ちつくし

犬 猫 鶏 あらゆるものを撃った

二十二歳のマイケル

 

菓子を毎日あげていた 少女

その日も兵舎に近づいてきたところを

二階から上官の兵士が 容赦なく撃った

自分の目の前で息絶えた 少女

 

―星条旗を逆さまにして

《冬の兵士》と名乗る 二十六歳のアダム

 

<平和安全法制>という美名のもと 星条旗に従い 

自分には悪さなど一切していない

地球の裏側のひとまで殺し 白骨になってしまった 

太郎 二郎 の夢を見た

 

―その道は 自分らが歩まされた道

東洋鬼にされ 白骨になった道

おうい その道だけは 進むなよ

 

深夜 かすかに聞こえる呟きは 死者の声か


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コメント: 1
  • #1

    細川英雄 (土曜日, 11 7月 2015)

    安倍内閣発足後、首相の言動には目に余るものがある。おそらくは、どこかに現在の日本政府を操ろうとする何かがあるに違いない。今回の「安全保障法案」もその一つだ。国家の平和、国民の安心と言いつつ、やろうとしていることは、戦争以外の何者でもない。首相は、壊れたテープレコーダのように、同じことを繰り返すのみで、もはや知不全に陥っている。しかし、このような首相を選んだのは、私たち国民なのである、かつてのナチス・ヒットラーを選んだドイツ国民と同じように。とにかく選挙によって、このような人を選んだということを痛烈に今、反省しなければならない。だから、二度と、今の政府を選んではならない。「安全保障法案」強行採決は、そのことを私たちに告げるものだ。